奔放なまでの欲望の終着点、あるいは輝かしい天国への入り口か。聖と俗、相反する世界の矛盾を
内包したまま肥大化する灰色の街マニラ。
灰色の天から灰色の地へ。貧富を問わず、神の名の下に平等に降り続ける魂の祝福と運命の不条理。

この街にはよく雨が降る。
その豪雨は熱に焼かれる者にとって潤いであり、恩恵であると同時に濁流となり全ての営みを無慈悲に押し流す厄災でもあります。同様に生に喜びを感じるか、原罪を感じるか。死を安らぎと感じるか絶望と感じるか。
天国と地獄は、相対的な者でなく、人がいかに日々を生きたかで問われる認識の問題でもあるように思います。

なぜ生きるかではない、どう生きるかだ。
絶対的な貧困を前に、なぜ神は沈黙をしているのか。そんなことを考え彷徨う自分とは違い、その瞳はすでにパライソの存在を生きながら視野に収めているかのようでした。

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